空を見上げて
トップページ » 2013年01月

TQWTのダクト改造その後

TQWTにダクト追加を追加してみた。
結果、低音はスッキリしやや重量感も増した印象。
反面、TQWT独特の面白さも少なくなったように感じた。

なんとなくオーディオについて考えさせられる。

個人的に思う印象。
・オーディオマニア
 リスニングルーム乃至はそれに順ずる環境を有している。
 「音を聞く」ことに専念して鑑賞するような聞き方。
 総じて、投資が高額でありブランド志向も高い印象。
*個人的に自分にはあてはまらない
・オーディオファン
 音楽を聴くのに専用の環境はない。つまり家の環境の中で音楽を聴く。「音を聞く」のではなく「音楽を聴く」ので音に対して忠実というより雰囲気を重視。
 所謂ホームオーディオなのでピンからキリまであるが、その中でも比較的オーディオに投資している。
*どちらかと言えば近い部類
・音楽ファン
 これも音楽を聴くのに専用の環境はない。ホームオーディオでもコンポなどで楽しむ。投資の具合は、その人の価値観で決まる。
*これにも近い部類だが、そのうち市販のものではつまらなくなって自作に走った。

みたいな感じで、商品にしてもどこに属するかで随分評価が分かれる。
例えば波動スピーカーにしてもオーディオマニアからすれば「安物」だしこのスタイル自体が「不適当」ということになる。ただ現実問題として、一般家庭に設置するのなら大きさや一体化したスタイルは好ましいし、BGMならこれでも...という人も多いと思う。しかし価格からすればコンポとの比較になって「高い」印象になる。また音質も定位置で聞く人から見ると「劣る」となる。「オーディオファン」向けの商品ではないかと思うしTPOで価値が動く商品だろう。タイムドメインも似たような層に向けた商品なのだろう。

話を戻すと、恐らくオーディオマニア向けならダクトをつけた方が好まれるような音。もっともマニアがこういう共鳴管を聞くのか?という話もある。ただスケールは違うが長岡先生のネッシーは共鳴管だし、方舟で聞かれていたのでオーディオマニアが共鳴管を聞かないということでもなさそう。
それはともかくオーディオマニアは環境もいいし「没頭」するので大音量(?)で聞いていることが多いような気がする。一方のホームオーディオ系は、防音設備も少ないだろうし「没頭」せずにBGM風に聞いていることも多いと思われる。
すると音量に対して等ラウドネス曲線みたいなものが必要になる。
http://www.asahi-net.or.jp/~yl1h-nkmr/oto/tokusei.html
音圧は
http://www10.ocn.ne.jp/~bouon-sd/dB-hertz.html
にあるように50-60dBなので低音は+10-20dBぐらいした方が良いことになる。
つまりは、小音量で聞くのなら無理してダクトで盛り上がりを消すよりそのまま残した方がバランスがいいし、聞いた感じでもそう思える。
まあ没頭して中音量はありえるかもしれないが、大音量はないように思う。

つまりは、小音量で聞くことが多いのであれば、ダクトはないほうが良いように思う。
まあ自作であれば売り物ではないわけで、自分が気に入ればいいし独断でもいいのだが、多分製品と仮定するとダクトはつけるのかもしれない。
端的に言えば、こういうトレードオフは随所にあるので、自作派がいるわけだし、それも自分の好みでカスタマイズすればそれに越したことはない。メーカーのように「平均点」を高める必要もない。ただ資金や時間も有限なのでメーカーほど多くのものを試せるわけでもないのは弱点でもある。

考えていたことについては
http://procable.jp/
にも同じような表現があった。「音」を聞くのか「音楽」を聞くのか...。
まあこのHPは過激(?)なので全面的に鵜呑みにするのもどうかと思うが、考え方としてはあっているように思う。セッティングもオーディオファンなら限度もあるわけで、可能な範囲までだろうし。
ここで紹介されているBIC America DV62siは米国のAmazonでも(ツイータの破損問題を除けば)評判が良さそう。かなりウーハー寄りで設計されているが音圧が高いのも良さそう。まあこういうのが普通なのだろうし、改造している人もいてそういうのも楽しそうだ。
まあ、このレンジは母数が多いだけに競争も大変そう。5万ぐらいならBowers & Wilkins
685もある。但しそれすら評価が分かれる。
SonyのSS-F6000は実売で1.5万以下だし、評判も良さそうで気に入れば無理して自作でもないかもしれない。
難しいものだと思うが、自作して自分で改造すれば何でもありでそこが楽しいのかもしれない。

で、結局はダクトは外してしまった。
結果は優等生的な締まった低音からは遠くなり、ゆったりとした寝ぼけた(柔らかい?)低音になり、音もあっけらかんとして撒き散らしたような出方に戻った。そのため小音量だと実に柔らかい音になる。
実際、こういうのが聞きたくて大型にしたわけだし自作ならではの音にも思う。(つまり万人に受けるものではないだろう。)
優等生的な音であれば多分買ってきたほうが良い結果が出るように思うが、こういう音は「売っていない」ように思う。

by   at 09:00  | Permalink  | Comments (0)

TQWTにダクト追加

スピーカーの考察を書いていたらTQWTを改造したくなってきた。
特に気に入らないということもないが、abo-x系統に比べて図体の割りに低音が伸びない。
伯耆さんが自宅に遊びに来られた時に聞いていただいたら「低音が強すぎますね」という感想。(量感があるという意味)
特性を調べると、100Hz前後が盛り上がっているので量感はあるが、周波数は50Hz程度までがフラットという感じでそれ以下はあまり出ていない。
反省点として考えられるのは
・テーパーがきつい(急すぎる)
 このため共鳴も強くならない。反面定在波は少ない。
・同じく断面積が大きすぎる
 但し、良い部分もあって容積がとれるためゆったりと鳴る
などがあげられる。
もっとも開口部が大きいわりには洞窟風の鳴り方はしないのであっけらかんとした感じで後面開放型に近いようなおおらかな印象がある。

どうしてもなおしたいというほどではないが、確かに気になる部分もあるので簡単な改造をしてみる。
簡単と言っても物が大きいのでそれなりに面倒。
まず、断面積はあきらめる。せっかくの良さが殺されるような気がする。
abo-xにならって開口部に大きなダクトをつけてみることにする。
ダクト径は大きいほど量感が出るが振動径に対して0.2~1.0が一般的で1.0というのも現実的にはあまり見かけない。
量感を得るのと、TQWTの特徴を生かしたいのでなるべく大きな径として100φのボイド管で作成した。
容積があるので10cm程度で50Hzを狙う。

このようなダクトを2本作成した。
とりあえず実験的にMDFで作成。工作はしやすい。

見た目にはわかりにくいが、開口部にこのダクトを入れてある。
つまりこのダクトが開口部になる。

ミソというか外して戻すのは簡単にできるようにした。
ひどければ戻れるというのは何よりの安心感がある。

こんなにでかいダクトで効果はあるのか?であるが、開口面積からしても今までのものの半分になっている。
完全に乾いているわけではないが、聞いた印象。

全体的な印象としては低音の盛り上がりはかなり無くなったような印象。
開口部は元々測定しても多くの周波数が出てくる。
カノン5Dさんがいろいろ変えて測定しておられるが、これと類似した形になる。
http://kanon5d.web.fc2.com/audio/kouza34.html
この場合2.4mなので35Hzほどの計算になるが、元のスピーカーから出る35Hzの音圧自体が小さいのでそこが飛びぬけて大きくなるわけではない。ただ100Hzから35Hz近辺までの垂下が穏やかなのが共振の効果と言える。
これは開口部の特性で、これとスピーカーの直接音との合成を聞くことになるが、開口部が前面で大きいと、もろにこの波形と合成され100Hz近辺がやや盛り上がる。
当方のも例外ではなく、それが低音の量感があるという形にはなっている。
ダクトをつけると一種のフィルタとして働き、100Hzを減衰しポート周波数を増幅できる。カノン5Dさんのページには吸音材の対策もあるが、共鳴管なのであまり入れたくない。
開口部に耳をあてると、以前のような音ではなく低音でフィルターがかかったような音になっている。とは言え口径が大きいので傾向はやや残っている感じ。
低音はといえば、伸びたのかははっきりわからない。ちょっと解像度があがったような印象はあるが劇的でもない。

音の印象はといえば、以前のあっけらかんとした感じが随分おとなしくなったような気がする。優等生的になったとも言えるが、逆につまらなくなったとも言える。
以前の開口部が野放しに近いほうが、なんとなく他のスピーカーとは違う傾向の音になっていて、それが気に入っていたりもしたが、こうやるとだんだん他と似てくる。特徴は残っているのだが...。
まあ特性を求めれば、この方が良い特性になるような気がする。ただ、モニタスピーカーを作っているわけではないし、聞いてどちらが面白いかといわれると前の方が良いような印象もある。
この改造を行うとソリッドな音になって緩やかさがなくなる方向に感じる。

by   at 09:00  | Permalink  | Comments (0)

スピーカーエンクロージャあれこれ

日曜大工が好きで、スピーカーエンクロージャで遊んでいる。
まあ手間はともかく、置き場所がなくなって困る。
1度作るとどうしても不満な点が出てきて2度3度と作りたくなる。
以下は思い出も含めて...

・QWT
 aboさんが作成されて、abo-x以来ファンになってしまった。これはaboさんが改良に改良されTabo-x、Labo-xと続き大型にはなったが40Hzからフラットに再生するものとしての成功例だと思っている。
 周波数特性的には、定在波が多いがその後三角材と最低限の吸音材などで若干は改善している。ただこのあたりは微小変化とも言える。
 ユニットも多数評価されて、低価格でも性能が出るし良い設計に思っている。
 理論は
http://kanon5d.web.fc2.com/audio/kouza33.html
にあるが、abo-xの場合はダクトを併用しているのが特徴でこれがうまくフィルタになって機能している。

・TQWT
 abo-xに刺激されて作成した大型のTQWT。ただ理論に照らし合わせるとテーパーがきつすぎて共鳴効果は損なわれていると思われる。実際にも80-100Hz付近が盛り上がり気味になる。低音の量感はあるものの低くまで伸びているというほどでもなく50Hz程度までがフラット。
 ダクトを併用すれば低音の盛りあがりは避けられるが、共鳴管独特のおおらかさがなくなる。開口部容積が大きいせいか背圧な少なくおおらかな音が出る。
 反省点としては
 ・テーパーを緩やかにする(弊害として定在波が増える。容積が下がる。)
 ・ダクトを設ける(通常ダクト開口は有効振動面積の0.2~1.0倍であるがなるべく1.0に近づければ共鳴管の特徴も生かせるはず。)
などがある。これらは改造でも可能なので実験すると確かに再生低音が下がる方向にはなるがQWTや大型バスレフの音に近づいて面白みもなくなる。
 高さが180cm以上になるので足もそれなりの面積になって容積が稼げるが、上の対策はそれらを生かせないので見送った。そのため
 ・ある程度f0の低いユニットが必要
 ・有効振動面積を稼ぐために口径をあげるか2個使う
というようなものが有効になっている。
 再生低音を期待するのであればLabo-xのようなQWT+ダクトの方が良いような気がする。

・バックロードホーン
 これは自作というよりオークションで入手したが手放してしまった。
 低音は音道の長さによるようで、やはり低い領域までになるとそれなりの大きさが必要になる。ホーンのせいか効率が良くそういう意味ではエコなシステム。
 後は好みの問題かとしれないが、よく言えば元気・明るい感じで、しっとり・繊細風の音ではないように感じた。(ユニットによるのかもしれない。)
 作例は多いが、部品点数が多く組み立ても複雑なので上級者向けともいえる。
 折りたたむかどうかがあるが、TQWTとは構造が良く似ているとも言える。ただ共鳴なのかホーンなのかという違いがあり設計は結構異なるが、音色に類似点がないわけではなさそう。

・JSP方式
 2作ほど試したが、JSP効果はある。但し容積が通常の1.5-2倍必要になるので小さくなるわけではない。またダクトが同心円上に配置されるのでダクト配置の自由度も下がる。印象としてはバスレフ共振の1つ下に共振するような印象。効果としては8cmのスピーカーなら10cm、10cmのスピーカーなら12cm...のように1ランク上のバスレフのような音になる。
 ユニットとの相性があるようで、どんなユニットでもそうなるわけではないようだ。
 いいのは仮に失敗というか成立しなくても同口径のバスレフ風にはなるので、そう考えるとリスクは極めて少ないとも言える。

・スタガードバスレフ
 作成したわけではないが、秋月でパナの大型TV用のスピーカーが売られていて、それがそうなっていた。(という書き込みを見つけて買ったというか。)
 スタガードバスレフなので共振周波数をずらした独立エンクロージャのウーハーが2つ(以上)あることになる。
 サイズを考えると「このサイズにしては」という音が出てくるがやはりサイズなりのレベルには違いない。共振点も2つあるが、さすがに65Hz付近はレベルが落ちている。(量感はある)
 70Hz程度は再生するので立派といえば立派だが自作例は少ない。

・ドロンコーン
 これも作成したわけではなくヴェロダインがそういう構造。16cmのメタルコーン。背面ダクトがあって盛大に低音が出てくる。
 ドロンコーンは作例がないわけではないが、パッシブラジエータが一般的にあまり使われないようで少ない。BOSEは小型化で採用している。
 背面ダクトのためか設置に偉く左右される。どちらかと言えば50-70Hzが持ち上がり低音の量感がありあまるほどある。40Hzまでほぼフラットに再生する。

・タイムドメイン
 これもまた作成したわけではなくエクリプスがそういう構造。
 殆どが浮かせたスピーカーの直接音なので音色は綺麗である。周波数特性をとってもかなり綺麗に出てくる。ただ卵型の筐体で強度はともかく容積がない。おまけにダクト共振を嫌う思想だと思うので低音は大型サイズほどは出ない。
 ダクト共振が汚い波形なのは定在波であるが卵型なので定在波も少ない...ようだ。積極的なダクトでもないようだ。
 定位はいいのだが、ピンポイント風でもあり聞く場所が限定される。
 さすがに低音が欲しくて2.1chのスピーカーにして聞いていたが、ソースを限定すればそうでもないのかもしれない。
 Yoshi9は聞いたことがないが、筐体はエンクロージャとして働くように思うので、これならまだ低音は期待できるかもしれない。実際にエクリプスにボイド管などをつけて上向きにすると低音は出てくる。ただ上向きにすると鮮明度もなくなるような...。

・波動スピーカー
 これは現物は聞いたことがないが作成してみた。タイムドメインとは対極にあるような製品だと思う。(間接音主体で聞くため)
 スピーカーが横向きなので逆オルソン的な音場になる。ただ
 ・左右のエンクロージャが分離されていない
  多分同相(センター定位)は背圧が高くなり弱まる方向で、異相(左右定位)は逆に強くなる方向で広がりを期待していそう。
 ・ボイド管そのものが振動するので、そこからも音がする。(楽器と言っているが...。)
  個人的にはこの振動はどうかと思うが...。
というので全く同じではないように思うが似ている。
 容積も少なくダクト共振に期待している風でもなく測定しても低音はやはり弱い。f0の低いArurasoundに変更してダクト調整してみたがそれでも弱い。
 音場を楽しむといえばそういえるが、間接音なので鮮明度がない。よく言えば柔らかいという言い方もできる。もっともBOSEの研究だとコンサートの90%は間接音らしいのでそういう意味での現実性はあるのかもしれない。
 低音というか、全般的に音が篭ったような印象がある。ニスを塗ってみたりしたが、多少はよくなるが、基本的に容積不足と剛性不足のような印象がある。そういう聞き方をするものではないのかもしれないが...。
 間接音なので置き方でも変わるが、どうも当方の好みからは外れてしまう。作成は材料があれば容易な部類なので自作派も多いようだ。低音増強のためか、左右分離例もみかけるがこれだと逆オルソンに近づくのだろう。もっとも置き方の方が音場ではよほど支配的にも思える。

 他にもダブルバスレフとか試してみたいものはあるが、置き場所が...。
ただダブルバスレフは疑問もあって以下の人もそう思っているようで...。
http://iridium17.blog96.fc2.com/blog-entry-34.html

やっていると、
・小口径で低音が欲しいために皆さん苦労されている
・但し音響的なアプローチだとどうしても大型になってしまう
という印象。電気的に処理できるとしても限度がある。
メーカーが3wayなどで比較的コンパクトでバランスよく作成している方が現実的には実用性も高そう。
ホームの場合は音楽が全てではないので、小型は重要に違いない。
一方、それでは自作はつまらないというのも事実。メーカーほど実験機材もないが商売する気もないので、大型でも良質な音質方向に走るのが現状。
結果、やはり大型のものは大型なりの鳴り方をしていてそこは小型のものでは得られないような良さを実感してしまう。BGMでもこのあたりが結構いい感じ。

by   at 09:00  | Permalink  | Comments (0)