スピーカーエンクロージャあれこれ
日曜大工が好きで、スピーカーエンクロージャで遊んでいる。
まあ手間はともかく、置き場所がなくなって困る。
1度作るとどうしても不満な点が出てきて2度3度と作りたくなる。
以下は思い出も含めて...
・QWT
aboさんが作成されて、abo-x以来ファンになってしまった。これはaboさんが改良に改良されTabo-x、Labo-xと続き大型にはなったが40Hzからフラットに再生するものとしての成功例だと思っている。
周波数特性的には、定在波が多いがその後三角材と最低限の吸音材などで若干は改善している。ただこのあたりは微小変化とも言える。
ユニットも多数評価されて、低価格でも性能が出るし良い設計に思っている。
理論は
http://kanon5d.web.fc2.com/audio/kouza33.html
にあるが、abo-xの場合はダクトを併用しているのが特徴でこれがうまくフィルタになって機能している。
・TQWT
abo-xに刺激されて作成した大型のTQWT。ただ理論に照らし合わせるとテーパーがきつすぎて共鳴効果は損なわれていると思われる。実際にも80-100Hz付近が盛り上がり気味になる。低音の量感はあるものの低くまで伸びているというほどでもなく50Hz程度までがフラット。
ダクトを併用すれば低音の盛りあがりは避けられるが、共鳴管独特のおおらかさがなくなる。開口部容積が大きいせいか背圧な少なくおおらかな音が出る。
反省点としては
・テーパーを緩やかにする(弊害として定在波が増える。容積が下がる。)
・ダクトを設ける(通常ダクト開口は有効振動面積の0.2~1.0倍であるがなるべく1.0に近づければ共鳴管の特徴も生かせるはず。)
などがある。これらは改造でも可能なので実験すると確かに再生低音が下がる方向にはなるがQWTや大型バスレフの音に近づいて面白みもなくなる。
高さが180cm以上になるので足もそれなりの面積になって容積が稼げるが、上の対策はそれらを生かせないので見送った。そのため
・ある程度f0の低いユニットが必要
・有効振動面積を稼ぐために口径をあげるか2個使う
というようなものが有効になっている。
再生低音を期待するのであればLabo-xのようなQWT+ダクトの方が良いような気がする。
・バックロードホーン
これは自作というよりオークションで入手したが手放してしまった。
低音は音道の長さによるようで、やはり低い領域までになるとそれなりの大きさが必要になる。ホーンのせいか効率が良くそういう意味ではエコなシステム。
後は好みの問題かとしれないが、よく言えば元気・明るい感じで、しっとり・繊細風の音ではないように感じた。(ユニットによるのかもしれない。)
作例は多いが、部品点数が多く組み立ても複雑なので上級者向けともいえる。
折りたたむかどうかがあるが、TQWTとは構造が良く似ているとも言える。ただ共鳴なのかホーンなのかという違いがあり設計は結構異なるが、音色に類似点がないわけではなさそう。
・JSP方式
2作ほど試したが、JSP効果はある。但し容積が通常の1.5-2倍必要になるので小さくなるわけではない。またダクトが同心円上に配置されるのでダクト配置の自由度も下がる。印象としてはバスレフ共振の1つ下に共振するような印象。効果としては8cmのスピーカーなら10cm、10cmのスピーカーなら12cm...のように1ランク上のバスレフのような音になる。
ユニットとの相性があるようで、どんなユニットでもそうなるわけではないようだ。
いいのは仮に失敗というか成立しなくても同口径のバスレフ風にはなるので、そう考えるとリスクは極めて少ないとも言える。
・スタガードバスレフ
作成したわけではないが、秋月でパナの大型TV用のスピーカーが売られていて、それがそうなっていた。(という書き込みを見つけて買ったというか。)
スタガードバスレフなので共振周波数をずらした独立エンクロージャのウーハーが2つ(以上)あることになる。
サイズを考えると「このサイズにしては」という音が出てくるがやはりサイズなりのレベルには違いない。共振点も2つあるが、さすがに65Hz付近はレベルが落ちている。(量感はある)
70Hz程度は再生するので立派といえば立派だが自作例は少ない。
・ドロンコーン
これも作成したわけではなくヴェロダインがそういう構造。16cmのメタルコーン。背面ダクトがあって盛大に低音が出てくる。
ドロンコーンは作例がないわけではないが、パッシブラジエータが一般的にあまり使われないようで少ない。BOSEは小型化で採用している。
背面ダクトのためか設置に偉く左右される。どちらかと言えば50-70Hzが持ち上がり低音の量感がありあまるほどある。40Hzまでほぼフラットに再生する。
・タイムドメイン
これもまた作成したわけではなくエクリプスがそういう構造。
殆どが浮かせたスピーカーの直接音なので音色は綺麗である。周波数特性をとってもかなり綺麗に出てくる。ただ卵型の筐体で強度はともかく容積がない。おまけにダクト共振を嫌う思想だと思うので低音は大型サイズほどは出ない。
ダクト共振が汚い波形なのは定在波であるが卵型なので定在波も少ない...ようだ。積極的なダクトでもないようだ。
定位はいいのだが、ピンポイント風でもあり聞く場所が限定される。
さすがに低音が欲しくて2.1chのスピーカーにして聞いていたが、ソースを限定すればそうでもないのかもしれない。
Yoshi9は聞いたことがないが、筐体はエンクロージャとして働くように思うので、これならまだ低音は期待できるかもしれない。実際にエクリプスにボイド管などをつけて上向きにすると低音は出てくる。ただ上向きにすると鮮明度もなくなるような...。
・波動スピーカー
これは現物は聞いたことがないが作成してみた。タイムドメインとは対極にあるような製品だと思う。(間接音主体で聞くため)
スピーカーが横向きなので逆オルソン的な音場になる。ただ
・左右のエンクロージャが分離されていない
多分同相(センター定位)は背圧が高くなり弱まる方向で、異相(左右定位)は逆に強くなる方向で広がりを期待していそう。
・ボイド管そのものが振動するので、そこからも音がする。(楽器と言っているが...。)
個人的にはこの振動はどうかと思うが...。
というので全く同じではないように思うが似ている。
容積も少なくダクト共振に期待している風でもなく測定しても低音はやはり弱い。f0の低いArurasoundに変更してダクト調整してみたがそれでも弱い。
音場を楽しむといえばそういえるが、間接音なので鮮明度がない。よく言えば柔らかいという言い方もできる。もっともBOSEの研究だとコンサートの90%は間接音らしいのでそういう意味での現実性はあるのかもしれない。
低音というか、全般的に音が篭ったような印象がある。ニスを塗ってみたりしたが、多少はよくなるが、基本的に容積不足と剛性不足のような印象がある。そういう聞き方をするものではないのかもしれないが...。
間接音なので置き方でも変わるが、どうも当方の好みからは外れてしまう。作成は材料があれば容易な部類なので自作派も多いようだ。低音増強のためか、左右分離例もみかけるがこれだと逆オルソンに近づくのだろう。もっとも置き方の方が音場ではよほど支配的にも思える。
他にもダブルバスレフとか試してみたいものはあるが、置き場所が...。
ただダブルバスレフは疑問もあって以下の人もそう思っているようで...。
http://iridium17.blog96.fc2.com/blog-entry-34.html
やっていると、
・小口径で低音が欲しいために皆さん苦労されている
・但し音響的なアプローチだとどうしても大型になってしまう
という印象。電気的に処理できるとしても限度がある。
メーカーが3wayなどで比較的コンパクトでバランスよく作成している方が現実的には実用性も高そう。
ホームの場合は音楽が全てではないので、小型は重要に違いない。
一方、それでは自作はつまらないというのも事実。メーカーほど実験機材もないが商売する気もないので、大型でも良質な音質方向に走るのが現状。
結果、やはり大型のものは大型なりの鳴り方をしていてそこは小型のものでは得られないような良さを実感してしまう。BGMでもこのあたりが結構いい感じ。
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