空を見上げて
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低音ブーストと低音補正

低音ブーストに関して思うこと。

一般的にスピーカーの周波数特性を適当に書くと以下になる。

下がり始めるのはスピーカーによって異なるが主に口径で決まっていて、10cmだと100Hz前後。foと呼ばれていて、コーンの重さなどでも重くなるほど低くなる。但し能率も下がり駆動力が必要になる。

で音響的に補正するとすると以下になる。
バスレフだとダクト周波数だし共鳴管ならその周波数。

うまく設計すると以下のように再生周波数がのびる。

そうでもないと以下のようになることがある。

これは量感はあるが、質感が出ないという状態。量感も大きすぎると中音が引っ込み全体的に解像度が落ちるような音になる。
逆に共振を欲張って低くするとディップが出ることになる。

でもって低音のブーストであるが一般的には

みたいにブーストされて結果は

みたいになる。

これだとやはり中音が下がるので低音も下げてしまうことになる。
低音ブーストというか補正は思うより難しいように思う。
測定してやっていけば良い点がないわけではないが、殆どの回路はブーストの値は変えられても、周波数までは変えられない。
BBEだけはある範囲で可能になっていた。サブウーハーも制御可能なものは多い。
これらにしてもまじめにやるのなら結構難しい。

それに何度か書いたが、ブーストと言ってもアンプのダイナミックレンジやスピーカーのストローク問題があって無限大でもない。かけ過ぎると歪っぽくなってくる。
それもあって嫌われているのだろう。
できれば、音響的に処理すれば歪は少ないがなかなかそうも行かない場合には低音ブーストは効果がある。ただ「後ちょっと」ぐらいだろう。
どちらかと言えば「低音ブースト」という言葉ではなく「低音補正」が適切かも。
つまり「スピーカーで足りない部分を歪まない範囲で補う」ぐらいがいい。

フラットで低音を伸ばす場合、質感が増すだけで中音とのバランスが崩れることはない。なので100Hz以上をブーストしてはいけないような。
但し、スピーカーの特性がダラ下がりしていれば効果的ではあるが、バスレフなどでストンと落ちる場合は思ったほど効果的ではない結果にもなる。

ちゃんとやればちゃんと効果があるが、ちゃんとやるのが結構難しいものだと思う。それもあって測定して自作...がいいのかもしれない。

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スピーカーの低音考

以前にも書いたが、「低音不足」などという言葉は非常に曖昧な言葉だ。
大事だと思うのはやはり「試聴位置の特性をとってみる」ということだろう。

フラットであれば好みはあるにしても、それほど不足は感じないと思うがフラットでどこまで伸びているかが問題だ。
この場合は「不足」ではなく「伸びてない」ということになる。
ただそういう表現はあまり使われない。多分測定しないからだと思う。

実際、この2つはかなり異なる。
バスブーストだと、
・不足=バスブースト量
・伸びない=バスブースト周波数
でこれを一緒にして補正しようとすると悪化させる原因にもある。
特にトーンコントロール回路というのは周波数をずらすわけではないので、伸びているものが前提になる。なのでバランス悪化することもある。
一方、測定してやるのであれば、バスブーストも悪くないし長岡先生の作品にもそういうのはある。
そもそも3wayのネットワークも周波数配分と能率をLCRで制御しているのでバスブーストを否定することはない。
スピーカのネットワークは減衰方向のみだし、過大入力にも対応しているだろうから歪みっぽくなりにくいと思うが、バスブーストもダイナミックレンジを考慮して歪まない程度になけるのであれば効果的だと思う。

耳であわせられたらそれはそれでいいが、一般的には、測定ありきということになると思うし、そのほうが確実だ。
PCが発達したので測定そのものはそう難しくはないが、それでも校正などを考えると面倒には違いない。ただ自分が「どういうものを聞いているのか?」「どう補正したらいいか?」を知ることは悪くないと思う。

小口径で低音が不足だという場合
1.100Hzまでフラットでない場合
 それ以上で下がり始めると低音不足。これはスピーカを変えたほうがいい。
2.100Hzから急激に落ちる場合
 急激に落ちるというのは例えばバスレフなど。別に方式が問題ではない。バスレフは低い領域で共鳴音(ダクト共鳴)を出すが、それが切れる部分はスピーカの音もない。
 同じようなユニットで密閉にすると共鳴音もないのでもっと低音が出ない。
 グラフにすると密閉はもっと上の周波数からダラ下がりするが、バスレフは下まで伸びて急激に低下するような形になる。
が多い。

 もし急激に落ちなくてダラ下がりすると、量感はあるので「不足」と思わない場合もあるし、それでいいという人も多い。
 ただ仮に100Hzまでフラットで後はダラ下がりにしても質感というのがある。これは100Hzでは出ない。もっと下に伸ばせば伸ばすほど出てくる。
 この場合「低音が不足」という表現ではなく「低音が伸びていない」という表現が適切だろう。

 では「低音はどこまで伸ばせばいいのか?」になる。
一般的に人間は20Hzが聞こえるといわれているので、20Hzまでフラットなら言うことはないが、それは現実的にはかなり難しいし投資も必要になる。
 ではどこまで?になるが、個人的には40Hzまで出ればBestに思う。

 というのも単独で低音を聞くと20Hzというのは聞こえるかもしれないが現実的にあるのだろうかと。
WGで20Hzを入れるとスピーカが振動しているのが見えて聞き続けると地震の予兆というかそういう感じで気分が悪くなる。つまり連続して聞くような性質のものではなく、「ドン」とか「ドシン」とか単発で聞くものなのだと思う。
まあ出れば出たに越したことはないが、投資に見合うような現実性があるとはいえない気がする。自然音にはあるかもしれないが、音楽には少ないような。あっても和太鼓とかパイプオルガンとかの一部ではないかと思う。
31.5Hzは微妙だが、40Hzあたりは入っている音楽はあると思われる。それでも「聞こえる」というのと「フラット」というのは意味あいが違う。ダラ下がりしても聞こえることは聞こえる。単発なので我慢のうち。
 つまり40-50Hzまで伸びていてフラットであれば質感も十分ということに思う。フラットであればそれ以下でも聞こえることは聞こえる。(それ以下が無意味とは思わないが、容積や価格を考えると投資効率は悪くなるので下がっていてもOKというか。)

 今まで小口径で40Hzの再生ってのはあきらめてもいたがTabo-xでちょっと様相が変わった。
 フルレンジ1発でそうする場合、高価なユニットが必要かといえばそうでもない。
Tabo-xの場合例えば松下のT10P45A6の特性である。
これはなんと1個¥600!!

100Hzからダラ下がりしている。
これは10cmの密閉なので、一般的に同一口径以上なら、これかこれ以上の特性は出るだろう。
この段階でも低音が不足でないと思うかもしれないが質感としては軽い音になる。
ハイ上がりにはなってないので、中高音がうるさいというほどではない。
これが低音が伸びていない状態。
密閉でもこうなので、共鳴構造では低音を伸ばす(低音の音圧を上げる)ことができる。

で、目下最優秀な(最も伸びている)Tabo-xに入れると...

40Hz-100Hzの不足分はすべて共鳴で出ていることになる。つまり「低音が伸びて補っている」。
バスブーストはしてないし、アンプも同じ。
中高音との音圧のバランスもとれている。
一般的にこの段階で低音不足はまず感じないと思う。

もしこれでも不足を感じるのであれば
・低音が多いものが好き
ということで別段スピーカのせいではない。
バスブーストすれば素直に低音があがる。(やり過ぎると歪みっぽくなる。)

ただ、測定しないでバスブーストするのは危険もある。
・スピーカから低音が出ていない場合にはバスブーストしても効果がない
 かえって出ている音にピークを作る可能性がある
・バスブーストも程度問題でやり過ぎると歪みっぽくなる
 ダイナミックレンジがなくどこかで線形が損なわれることがある。
なのでエンクロージャの共鳴でフラットにもっていくのは悪くない。
そのもそも「バスブーストで伸ばす」場合は周波数も重要なので測定しないでやると悪化しかねない。

共鳴という観点でエンクロージャ方式を見ると...
今までJSP・バックロードホーン・共鳴管を試してみたが、共鳴管のTabo-xは優秀だと思う。
ただ、どれもが同じ条件ではないのとそれぞれ音色が違うので「これがいい」と断言はできない。共通していえるのは、どれにしても容積は小さくはない。

ニアフィールドならそれなりの考え方もあるが、そうでなくて低音を伸ばしたいのであればある程度の容積は必要だろう。

個人的には、共鳴管やJPSの音は悪くないと思った。バックロードホーンは「元気がいい」音でちょっとしっとりした曲には合わないような印象。ユニットにもよるので一概にはいえないと思う。ただ、バックロードホーンは音圧があがるのでエコとは言える。
どれを選ぶかは好みの範疇ではあるが、Tabo-xは自作で試す価値のあるエンクロージャに思う。

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スピーカ測定の実際

スピーカの測定の続き。

測定機材そのものは、かなり安価でもそれなりに測定はできる。
ただデータの信憑性となると、やはり校正したいところだ。
自分の測定環境が「正しいのか?」はいずれにしても気になる。
「フラットな特性」といわれても完全にそういうものはまずないので、測定器で見たほうがいいと思う。

手法は前にも書いたが、「何か特性のわかったスピーカ」が良いように思う。メーカが周波数特性を公開している場合、それは校正された測定器で測定されていると考えられる。
なのでこれを基準に測定するのだが、共振型のエンクロージャでは共振点で背圧が変化するため、ダクトはふさいで密閉にすると一致しやすい。

影響の大きいものは
・マイク
 会議用などだと、周波数特性がフラットでなく「会話が聞きやすい」ようになっている場合がある。
・サウンドボード
 これはループバックできるが、おかしな特性を示すものが存在する。
・アンプ
 滅多なことはないが、20Hz-20KHzまでそれなりに再生できること。OTLだとGNDがないのでループバック測定は難しい。
であるが設置もまた影響する。
 測定結果はメーカデータと軸をあわせて合成してみるとよくわかる。特性そのものが全くあわない場合はともかく、dbがメーカとあわない場合もある。
 この場合、どこか系のリニアリティではないかと思われるが、自分の環境が正しくは「どれだけを示すのか?」を知っていれば換算はできる。

 いろいろやったあげく、秋月のコンデンサマイクと特定PCだとかなり類似したデータになるので、今はこれを信用してもっぱらこれで採取している。

 ふりかえってみてもTangBandのデータともずれない。(高音は別)

 設置というかマイクの固定は結構面倒なのでブームスタンドを使っている。
こんな感じで測定する。

ブームスタンドはいろいろ売られているが安いものは@2,000ほどからある。
マイクの設置が自由なのでお勧め。
足は一応ゴムキャップになっているが、それでも振動をひらう場合はカーペットかスポンジを敷くといいかもしれない。

いつもは「スピーカ」「ダクト」「試聴位置」を測定する。

「スピーカ」「ダクト」はかなり近傍で採取するので、結構音量も小さくてよいし外乱影響も少なく再現性は高い。
一方、「試聴位置」は、外乱も大きいし部屋の影響もかなり出てくる。身に覚えのない定在波は殆どが部屋によるもので、カーテン(吸音材)などでも変化する。
ここが一番大事な測定ポイントになるが、測定を見ていると結構いやになる感じでもある。

部屋を変えられる人なら、それで対策できる部分もあるが、定在波ならともかくバランスが崩れている場合はそんなに簡単ではない。
そこで「スピーカ」「ダクト」の測定が物を言う。
つまり自作の場合は、そのあたりを調整できる。

「スピーカからして出ていない」のか?
もし出ていない場合はユニット交換という手がある。なるべく特性付になるとそれなりのメーカになるが、測定器があればジャンクでも測定はできる。但し望むものかどうかは別。
「ダクト」は正しく共振しているか?がわかる。
ポートを調整すれば、ディップなども防げる。設計は共振周波数を欲張って低くしてしまうが、共振しても十分な音圧がない場合もあり、上にずらすほうが量感が増す場合もある。耳でもできるが測定したほうが手っ取り早い。
一般的には「細く」「長く」すれば周波数が低下する。

こうやって調整するのが無理な場合もある。その場合は例えばバスブーストになるが、そうやっても1度は測定したほうが良い。
バスブーストしたアンプで測定して、まずはフラットにしてみる。(バスブーストそのものも、適当になると凹凸ができて、うまく設計しないとフラットにするのは難しい。そこにも使えるが...。)手っ取り早いのはグラフィックイコライザあたりでやることだし、そう高額ではない。但し、補正には限度があるので、スピーカが出ない場合「どうやっても出ない」場合もある。

そこが世の中の基準...でもないが、そうやって聞くように録音されているのだと思う。

その後、自分で好きなようにするのは別段かまわないが、「自分が標準に対してどう設定しているか?」を知っておくことは大事だと思う。
何度も書いたが、周波数特性だけですべてが決まるわけではないし、ユニットやエンクロージャで独特なものがある。共振音などは制動がゆるく柔らかい反面歯切れはよくない。
ただどういう方式やユニットを比べるにしてもバランスがフラットでないと不公平なものになってしまう。というか、フラットになれば後は「好み」ともいえる。ただ「好み」も80%の人が「この方がいい」というものは存在すると思う。

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スピーカの測定すすめ

abo-xからスピーカの測定をよくやるようになった。
それでなくても「フラットな特性」を聞いたことがない場合(あるいは思い出だけの場合)、基準がわからないということになり、「今よりXXX」風で絶対基準がない。
周波数特性で全部わかるとは思わないが、少なくともバランスだけは把握できる。
その意味ではエンクロージャを自作しなくても、やっておいて損はないと思う。

測定は「簡単にできる」とあり、実際にそうなのだが「このデータは信用できるか?」という問題がつきまとうと思う。つまり「校正」になる。
確かにマイクとPCがあれば後はWS、WGなどのFreeソフトで測定ができる。
これはこれで喜ばしいことだが、いろいろとおかしくなることもある。

1.サウンドボード
 これはループバックすればわかる。20KHz付近を除いてフラットに出れば十分使える。
 そう思って幾つか見たらそうでないものもあった。ドライバ処理かもしれないが、そういうもののない素直なものが望ましい。
 ダメな場合はUSBオーディオあたりを使うことになる。

2.アンプ
 スピーカの測定なのでアンプを使うが、この特性が問題。とは言っても最近のアンプは優秀。これも素直でバスブーストなどはないのが良い。
 これもループバックできし、やったことはあるが、優秀だった。サウンドボードより高価だから当然なのだろう。
 ただ注意してほしいのはOTLのものはGNDが必ずしもGNDになっていない場合ループバックすると、破損する危険性がある。トランスをかませればこれは回避できるが、今度はトランスの周波数が問題になる。
 なので選ぶとしたら、OTLでも片側GNDにものが望ましい。
 アンプは最近のものなら信用していいので、必須ではないと思う。

3.マイク
 経験からは、多分これが一番やっかい。ECM8000(ベリンガー)などが推奨されていて、確かにいいと思うが、このマイクは使う場合ファントム電源が必要だし、音楽用なのでキャノンコネクタになっている。なので必要機材を揃えるとそれなりの価格になる。とは言っても1万以下で揃う。
 測定はダイナミックマイクは高音がとりにくいのでコンデンサマイクが良いと思う。
 実は今までPC用や会議用のコンデンサマイクでやってみたが4つともうまく行かなかった。特性がどうもうまくあわない。これらは指向性があるとか周波数で人間の声以外を落とすなどされているような気がする。
 ECM8000を買うか迷ったが、秋月電子の@100のマイクがとても良かった。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-02303/
パナソニック製で20Hz-16KHzまでひらえる。特性データもある。

4.固定
 これは適当でいいのかもしれないが、人間が手で持つのはちょっと。
ブームスタンドで安いものがいいと思う。一番安いのなら@2000ほどで買える。
できれば振動を避けるためカーペットの上に置いたりするといい。

 で、やっと測定になるが、次に苦労するのがノイズ。
「スピーカ部分」「ダクト部分」の測定は音圧が高く周囲の音はあまりひらわないので苦労はしない。
しかし「試聴位置」の測定は普通の環境なので生活音(車の音など)をひらう。
おまけに一般住宅なので定在波も沢山出る。
アンプを大音量にすれば、確かにSNはよくなるが、それでも近所迷惑の場合も多い。特に高音は聞いていてもちょっと遠慮するような音がする。
で普通の音量にするとSNは悪い。手としては
・コンデンサマイクの電源をPCをやめて電池にする。
 PCにもよるが当方の場合、これで随分ノイズが下がった。
・コンデンサマイクの後ろにアンプをつける
 実はこれもやっている。というのもやはりケーブルノイズがのる。勿論電池駆動にする。

 以上でほぼ測定できるようになるのだが...冒頭にように「果たしてあっているのか?」が難しい。
 これをやる場合は
・特性の公開されているスピーカユニットの直前にマイクを置いて
・ダクトがあればふさいでエンクロージャを密閉にして
測定する。
 つまりメーカのデータを校正用データとして利用する。
 密閉で測定すると共振影響がなく、データはメーカデータにかなり近いものが出るはず。
 狂っていると測定器としては使えない。

例えばこれはTangBandのデータ

密閉してスピーカを計ったデータ

このままでよくわからないので重ね合わせて見る。

5KHz以上は低下しているが、それまでは一致しているのがわかると思う。
高音の測定はそれはそれで難しい側面もある。
これだと5KHzまでの測定に関しては信用できると思う。

で、「そうならなかった場合」であるが、許容範囲であれば、自分の測定器の傾向を把握していくだけでもいい。
そうでない場合は...1つづ取り替えながら改善を行うしかない。ループバックやアンプのテストを行っている場合はマイクが主要因であると思われる。
会議用のマイクがすべてそうとは限らないが、こういう測定に向いていないものも多い。

自分のシステムをはかるのも悪くないと思う。

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音のバランス

よく「低音が弱い(乃至は出過ぎ)」「高音が弱い(乃至は出過ぎ)」みたいな話が出てくる。自分も結構安易に使う。
ただ、その都度「基準は何なのだろうか?」と思うことがある。
「自分の好みにたいして」であるとするとAさんは低音が弱くBさんは強いと思うかもしれない。10人が10人「弱い」といえばあっているのだろうが、そういう被験者を無作為に用意したわけでもなさそうだ。数人というのはまだまともだ。

つまりはまずは「フラット」なものがあって、それに対して「弱い」「強い」であれば、これはAさんもBさんも変わらないので客観的だ。
しかし現実問題、そういう「フラットな特性のスピーカ」はなかなかない。
もう1つの手は周波数特性をはかることであるが、これも現実的かどうかわからない。
設置でも変わるが、スタンドのところで書いたように「普通に聞く設置」でどうか?になる。聞く場所までは限定できない。

で、話は前に書いていた秋月の「大画面TV対応 2WAY 3スピーカーシステム(グレー)61cm」に戻る。
実はこの周波数特性というは結構フラットだ。
これが測定結果。

・低音は60Hzぐらいまで出ている(それより下は測定が信用できない)
・高音は10KHz以上は落ちるが-10dbほどである(高音が弱いものは-15db以上落ちる。)
・驚くほどディップがなく平坦な特性
である。測定条件はスタンドをつけて試聴位置にあわせてある。距離は2m。
(それでもすべての環境で再現はしないと思うが...。)

アンプもいろいろあるが、大半のものは測定しても20Hz-20KHzはフラット。測定はFFTで有限の時間だとサンプリングの関係で20KHzは落ちる。
そうでなくても高音は角度で下がってしまう。

¥1500でリファレンスというのもおかしいが、それに近いことは事実。
耳リファレンスとして活用するにしても「これとの比」で述べれば客観的でもある。

つまりは、振幅が周波数に対して一定フラットなので原音のバランスに近いといえる。(アンプはスピーカから見れば随分フラットなデバイス)
これから先が好みで、バスブーストするもよし自分なりの好きなバランスにするといいと言える。
少なくともCDに収録された音バランスで演奏者なり作成者が「聞いてほしい」というバランスになる。音楽にとっては一番肝心な部分だと思う。

もっとも周波数特性がいいから音がいいとは言わないが、最低線がバランスに思う。低音も出過ぎると雰囲気が壊れる。
周波数特性だけでわからないものもいろいろあるが、頑張れば測定できないのかと思うこともある。
・音がなめらか
 これはディップもそうだが周波数の暴れが少ないとそう感じる傾向になるようだ。
 一般的に音響的な意味で木材でも固い材質のエンクロージャが良いとされるが、なんとなく柔らかい木材だと吸音的な効果が出て滑らかに近くなるのかもしれない。
 冗談でパイン材で作ってみたが、結構音はなめらかだった。多分反射定在波が幾分抑制されるからだろう。しかし後の「歯切れ」はさほどよくなかった。
・歯切れがよい
 多分周波数特性ではなくインパルス応答ではないかと思うが試していない
 高速に応答すれば多分歯切れがいい。また「一般的相場」もわからない。
・コーン材質紙とかメタルとかの「くせ」
 これもあてずっぽうではあるが、インパルス応答に思う。それも立ち上がりと立下りというか。つまり柔らかい紙材質はインパルス応答はで立ち上がりは早めで立下りが遅めとか。硬い材質はその逆...みたいな。そんな単純ではなく剛性があるので紙は案外立ち上がりも遅れるような気もする。ユニットにもよるから一概にはいえないだろうけど。
・艶っぽさ
 ここになると皆目測定の見当もつかない。滑らかさにもよるのだろう。
・定位
 話は飛ぶが「音の方向識別」という技術がある。複数のマイクから複数の音の方向を計算するのであるが、案外これを使うと測定できるのかもしれない。もっともソースに演奏者の正しい位置が示されていないと困るのだが、そういう測定用のCDなりを作ればいいわけで...。

 まあ定量的な指標が存在しないため、個人評論が跋扈するけど、測定してもわからない要素は多いのだろう。そんなものを求めてもしょうがない...が一般的な答えでこうなっているような。
 ただ上の「音が硬い」とかそういうのは好みとして、最低線「フラットな特性=周波数に対して一定の音圧振幅」がバランスの基準という考え方はまだ客観的に部類だと思う。
 秋月の手先ではないが(外観はともかく)「大画面TV対応 2WAY 3スピーカーシステム(グレー)61cm(パナソニック製)」はそこは凄く良い。50Hz以下まで伸びればモニタスピーカになりそうだ。サイズで限界なのかも。

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エージングの役割

よくエージングで音が変わるという。
これは自分も全く経験がないわけではない。

ここからは個人的な推測...
1例としてスピーカをあげる。

一般的に、物には内部応力がある。
なので例えばエンクロージャで板を切断し接着なりすると、その歪みは内部応力として蓄えられる。
無理やりハタガネなどでまっすぐに接着する。
で長い時間かけてその応力が放出される。

...であれば音は鳴らさなくてもいいじゃないかということになる。
ところがこれがそうでもない。
で考えたのは、もっとスピーカユニットが支配的な気がする。
例えば新品のスピーカユニットを買ってきたとする。これは内部応力というよりボビンとコーンとかさほどしっくりきていないような気がする。
新品の靴と同じで最初は靴擦れしても使い込んでいくと丁度よくなるような感じでいわゆる「なじみ」が発生しているような気がする。(ちょと違うか。)
つまり、細かな「バリ」とか「コスレ」が磨耗や変形でストレスの少ない方向に動く。結果として動きは改善される。
エンクロージャは作ってすぐはさすがに接着剤の強度も十分ではないだろうし論外として、それは数日おけば内部応力はぬけるはずである。
しかし音を出してエージングすると早く安定する。
・低音が出てきた
・のびが良くなった
などは、やはりユニットの「なじみ」が大半の要因ではないと思う。
そのため使い込んだユニットだと最初からそこそこの音がするように思う。

自分がエージングで音の変化を感じたのはやはり新品のユニットを入れた時ばかりである。
もしなじみだとすると表面波である高音より低音を長時間出すほうが効果的だろう。ただ低音を聞き続けるのは苦痛だと思う。(気分が悪くなる。)
でもメーカはエージングはしないだろうし、案外あたっているように思う。

勿論、どんどん突きつめていけば電子部品でも内部応力はあるわけで、エージングで音が変わることになるし、そう主張する人も多い。ただこれを感じるにはそれだけの再生装置というかシステムと耳をもっていないといけないだろう。
経験からすれば、スピーカユニットの比ではないように思う。

もっともそちらも「最初からいい場合」もないではないと思う。
しかし新品のスピーカを買ってきたら、数日はなじみのための低音のよく入った曲を再生させたほうが早く安定するはず。
そもそもエージングで「良くなる」と記載してあるのが大半であることからして、応力原因なら半数が「悪化した」となるはずが、そうはならない。なぜなら応力なら、「変形」であるからどっちに転んでも不思議はないのでこの話自体がおかしなことになる。
なので、この話も「なじみ」と考えるとわかりやすい。つまりスピーカのコーンの動きが「なじんで」本来の設計値になるのだから、悪化はしないだろう。動きが良くなって悪くはならない。

面倒なら中古を購入するのも手のように思う。エッジに寿命があるのであまり年代物はいけないと思うけど。
エッジの張替えもやっている人はいるが、難易度が高そう。

オーディオは「オーディオの真実」にもあるが、根拠不明のものが多々ある。
ただ、エージング=オカルトでもなく科学的根拠はある。
やはりスピーカのユニット部分というのが多い。
自分はユニットの摺動部分の「なじみ」だと思うがエッジという説もある。
例えば...
http://blog.livedoor.jp/jazzaudiofan/archives/50169120.html
いずれにしても(特に可動部品は)製造直後の新品の初期状態よりは安定性が増すのはなんでも似ている。
ただ(通電時間にもよるが)バスタブ曲線風に安定するらしいので、初期安定なら10時間もあれば大半安定してしまうように思う。論文を読むと、振幅の大きい低周波を入れれば数分で安定するらしいが、そんなのを聞くと気分が悪くなりそう。適当な音楽で10時間の方がましだろう。
それから後も変化するにしても殆どは微小だろう。

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スピーカスタンドの役割

自分の場合はピュアオーディオでもないがなるべく¥をかけずして近づきたいという願望が大きい。
¥をもってないのも勿論あるが、¥をかけてできたとしても達成感がなさそうだし。
まあ貧乏人のひがみともいえるがDIYだとそういう面白さはあると思う。

でスピーカスタンドの話であるが、基本的に目的は3つではないかと思う。

1.試聴位置をあわせる
 つまりいつも聞くであろう耳の高さにあわせる。
 なんで大事かというと、高音というのは直進性が強く、角度がずれると-10dbほど低下してしまう。
 測定でも書いたが、スピーカそのものは20KHzとうたってるのは正面から測定して場合の話で、Fostexなどは角度のデータも出している。(^^)5KHzを超えたら-10dbが普通。
 実際に計測してもそうなるし同じく聞いた感じもそうなる。なのでいい音を求めるのなら「試聴位置をあわせる」はかなり重要。どんないいものでも特性は出なくなる。
 無指向性のものもあるにはあるが、全方位にスピーカをつけるスタイルならともかく拡散板だと確実に高音は落ちる。祭りの太鼓だけ聞こえるような感じ。
 もっとも知った上でやるのは好みだと思う。

2.床反射を防ぐ
 密閉なら気にしなくていいが、多くのスピーカはダクトを正面にもってきている。背面にあるのもあるが、これはもっと設置が難しい。下にあるのもあるが、これは反射を期待した設計なのだろうと思う。ただ床材は制御できないので石板でも敷くのか?
 それはともかく床に置くと低音はでてくる。ダクトからは低音がでるので、それが床に反射するので豊かな低音にはなる。
 ただ、低音なので「高さで定在波ができる」「音が濁る(混ざる)」となる。
 定在波ってのは例えば音が反射してある波長の音だけが打ち消しあうこと。ダクトと床の距離によって周波数が決まる。そうなると「あれ?」と思うことがあると思う。
 「濁る」ってのは極端に言えば洞窟みたいなことになっている。つまり反射音と混ざった音を聞くことになりこれも好ましくない。
 じゃあ和室なら畳だし...なのだが、それでも反射する。洋室よりはいいと思う。
 とにかく(そう設計されたものを除いて)床の反射は防いだほうが音が綺麗になる。

3.振動防止
 じゃあブックシェルフだから本棚でいいじゃないか?という話があり、これはこれで正しい。ただスピーカってのはエンクロージャも振動する。物には固有振動数があって、本棚の棚をたたくと「コンコン」とか「ボコボコ」とか音がする。スピーカが仮にこれと同じような周波数を出すと本棚が振動してそれが逆にスピーカに伝わる。スピーカのエンクロージャで特定の周波数があがってしまう。
 それを極端に嫌ったのがタイムドメインでこれはスピーカがエンクロージャから浮いている。まあそこまでは必要ないが、手取り早いのはコインを3枚(4枚より安定なので)下に入れれば回避できる。つまりは「点接触」なので振動が伝わりにくい。
 本棚の場合は隣に本があるか?でも違うことになるがギッシリつめると固有振動数は下がるのでそんなに影響がなくなるかもしれない。
 凝ってくるとコロとかそういう線接触にして反力すら排するものもある。
 
まあ、単純にこの3つをやっても音の印象は随分違うと思う。
凝ってくれば、スタンドから材質までこだわればきりがないが、基本の3つさえやっておけば予想以上の効果は得られると思う。
やっていると「設置」というかそういうので結構音は変わってしまう。アンプよりよほど影響するように感じる。

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小口径スピーカで低音は出るか?

フルレンジの8cmのものは低音が出るのだろうか?
最終的には「出にくい」というのが一般的な結論になる。

はfostexのFF85WKの特性である。(Boxに入れた場合)
スピーカにはfoという「最低共振周波数」がある。
ここが単品で低音が出る限界と思えばよい。これは色々な要因で決まるが、大雑把には「コーンの重さ」みたいに考えるとわかりやすい。
8cmだと、一般的には100Hz近辺になってこのスピーカは115Hzである。
(水色のインピーダンスにピークがある部分がfo)

では8cmだと20Hzは出ないか?といえば-30dbぐらいで出ている。
当然だが1Hzの電圧をかけるとスピーカは1Hzで振動するが、これだと例えば200Hzの1/1000になると考えればよい。
ではブースタで1000倍するとフラットになるかもしれないが1Vで駆動していたものが1000Vになって非現実的である。
まあ20Hzというのは極端なので50Hzほどを狙えばいいような気がする。これだと30倍ほどで済むがそれでも微妙。
またストロークを考えると、例えば16cmの1mmのストロークと等価の音圧を得るには8cmだと(面積なので)4mmのストロークになり、現実性に乏しい。

それ以外にエンクロージャで共振を利用する方法がある。共振は特定周波数が共振増幅される。バスレフ型が代表的だが、他にもバックロードホンなどいろいろ工夫されている。
この低音は「共振音」なので制動がゆるくキレはそんなに良くないが量感は得られる。共振音は制御が難しい反面独特の味わいがある。
個人的には制動が強い低音よりは聞いていて疲れないためよいように思う。
このエンクロージャでは50Hzの部分にディップがあるがそこがバスレフ共振部分でうまくつながっている。
しかし例えば16cmだとこうなる。

バスレフでは、ここまでの低音は出ない。

つまり小口径で低音を得るには...
・foの低いものを選ぶ
 これをやるとコーンがメタルなどの重い材質になり能率が悪化する。そのためパワフルなアンプで駆動することになる。
 一般的に巨大マグネットで駆動するため制動がきつく歯切れの良い音がする。
 コンポで小型のスピーカのものはこのタイプが多い。

・バスブーストする
 これはアンプで「味付け」してしまうので好ましくはない。但し安上がりで効果も大きい。
 特にフルレンジ1発は継ぎ目がないので、6db/oct程度のゆるいスピーカと逆の補正をかけるとそう不自然には感じない。
 但しアンプの能力で限度があるのと1度はスピーカの特性を測定しておいたほうがよい。(これはマイクとPCで測定できる。)
 一般的にはスピーカとアンプが切れなくなるのと、補正の部品で音は劣化するため嫌われるケースがあるが、知っていてそれなりにやれば効果的に思う。
参考1)PST方式
 これはスピーカ自作の大御所長岡先生の方式。スピーカに補正フィルタを入れる。
恐らく上と同じくフルレンジだとこれをやっても劣化は極小になる。
 スピーカの独立性は高くなる反面、大きなエネルギーを制御するし部品も高額になる。ネットワークと同じ部品でよい。
参考2)アコースティックエアー サスペンション
 吸音材を盛大に入れ、やはりネットワークで中・高音をCutする。つまり、中高音のところをカットするので全体的には能率が下がるため低音との効率差が少なくなる。

・エンクロージャを工夫する
 つまりは共振周波数でかせぐ。これは方式がいろいろ考えられているが、面白いと思ったのはJSPの方式。
 これはバスレフの共振周波数より下に同程度以上の音圧で共振帯域ができる。
 バスレフなどでは、ダクトの共振周波数は計算で求まる。細く・長くすると共振周波数は下がるが同時に量感も下がるので適当なところがある。計算してみるが最後は聞いてあわせる場合が多い。自作のメリットかも。
 JSPでも計算式があるが、バスレフより下を狙っても量感が得られる。また、バックロードホンほど構造は複雑ではないので工作は簡単にできる。
 共振周波数はあまり欲張らないほうが成功する。
 ただ、エンクロージャは小さくなるわけではなく、通常容積より大きくしないとこれが成立しない。(8cmでも10-13L必要。あまり大きくてもNG。)
 バックロードホンも同様で、決してエンクロージャが小さいわけではない。
 但し、これらは共振部分で「メーカにはない味わい」をもっている。

 結論からすると、最初に作るのなら8cmはやめた方がいいと思う。
 エンクロージャは8cmで工夫しても小さくはならない。(小さくすると効率を落とさないと低音が出ない。)
 無難なのは12cm-16cmでバスレフで作れば失敗は少ないように思う。
ただ、そうやると「当たり前」っぽい音になるので、他の手法を取り入れるのは面白いとも思う。

注)その後の考察
どこまで求めるか?であるが50-60Hz程度まではフラットに出てほしいものとする。できればフルレンジ1発。3wayなら別の考え方になる。
周波数特性を測定されて掲載されているものは、聴感で書いてあるよりは定量性があって齟齬が少ないと思う。
それで調べたものと自作の場合で
・8cmで調べると
 塩ビ管のダブルバスレフ+ホーン
http://jizounokimagure.at.webry.info/200706/article_1.html
あたりは凄い。なので設計でできるが難易度は相当高いと思う。
 次点として8cmのJSP方式やバックロードホンで10L近辺の小型のものは、バスブーストすればそれなり。バックロードホンは大型にすれば、良好になる気がするがJSPは大型にするとこれまた成立しなくなるので「適当な大きさ」が必須。バスブーストも前に書いたが限度があって低音だけを極端に出すとダイナミックレンジの関係で歪みが多くなってしまう。実用的なのはこのあたりではないかと思う。
 まずは、それなりのユニットを使う必要があるため安くはないし、思うほど小型ではない。
・10cmの場合
 8cmに比べてエンクロージャも大型にしなくてはいけないがユニットの選択範囲も多くて8cmよりは難易度は低い。QWTのabo-xや大型のTQWTのような共鳴管なら出る。ただ思うほど小さくはない。恐らく、JSPやバックロードホンでもそれなりの容積があれば出ると思われるが、小型エンクロージャではなく15-20L程度(かそれ以上)がどれも必要に感じる。ダブルバスレフは想像ではあるが、同じようなサイズで実現できるかもしれない。ただ設計パラメータが多いので難易度が高いと思う。
 JSPは構造が単純で製作しやすいが、容積やユニットに敏感な印象。バックロードホンは製作が面倒(楽しいともいえる。)共鳴管は、構造もシンプルだし失敗が少ないような気がする。(ややでかい。)
 鳴り方は構造によって結構違うのでどれがいいとは言い切れないがバックロードホンぐらいが無難な気もする。といいながら共鳴管が好きだったりするが...。

 自作するのならやはりちゃんとデータやユニットを公開しているのを参考にしてそれを改良したほうが良い。聴感は人によって表現が違って全然あてにならない。

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フルレンジか3wayか?

安易にスピーカの自作を勧めてしまったが、そもそも「じゃあどんなものを作るのか?」は最初は全くわからないように思う。

一般的な構成としては
・フルレンジ1発
・2wayなり3wayなり
という構成が考えられる。

個人的には「フルレンジ1発」をお勧めしたい。せいぜいが、足りない高音を補う2wayまでが無難に思う。
理由は単純でネットワークを入れると
・ネットワーク設計が難しい
 実際にスピーカを複数つけると周波数特性は改善するが、「つながり」が問題になる。
 もしある一定の音量で聞いている場合はある程度はつながるが、例えば「今日は小さめで流そう」と考えると不自然に感じる場合がある。これはスピーカそのものの能率が異なるためでアッティネータで調整はされある程度以下にはなるが、連続性はやはり失われる。
 同じく、どこまで気にするか?はあるが定位も複数だと甘くなる。(点音源から遠くなるため。)
・ネットワークでロスが出る
 オーディオでは(これまたどこまで気にするか?だが)部品を足せばその分劣化する。
 つまりネットワークに採用する部品で音は劣化する。なのでそこそこのグレードになるが、そう安価なものではない。
となる。

反面、フルレンジ1発というものにすると
・口径はせいぜい16cmまでになる
 それ以上になると低音は出るが高音が出ないため2way以上になる
・小口径だと低音が出ない
 一般的には低音は小口径では出ない方向になる
というデメリットがある。
ただ個人的はフルレンジ1発は「まとまりがよく」「自然な音」がする。
また自作派でもエンクロージャはいろいろ工夫するが、圧倒的にフルレンジ1発の人が多い。
一方メーカのものは2wayなり3wayが多い。
ユニットを変えながら膨大な実験をできればともかく、自作するのであればフルレンジ1発の方が失敗は少ないと思う。

結果的には、8cm~16cm程度のフルレンジのユニットが無難といえる。

もし物足りなくて補うにしても、積極的に継ぎ足すのではなく「足りない部分だけ補う」ようなやり方の方が自然で失敗がない。

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スピーカかアンプか入力か?

良くオーディオの投資バランスの話がある。
スピーカかアンプか入力か?であるが、これも人によって正解は違うのだろう。

個人的には「スピーカ」だと思う。
アンプでも音は変わる。ただ、経験的にはスピーカほど変化はしない。

人間にたとえるとスピーカ=声であり、声帯=ユニット、口の形状=エンクロージャみたいな感じになる。
例えばAさんの声とBさんの声がわかるように、スピーカの音にも独特のものがある。

アンプはその制御で人間の脳&筋肉かもしれない。
例えば同じAさんでも若い時と年を重ねた場合では、声も微妙に変化する。
若い時が必ずしも時がいいというわけでもなく「味わい」からすると年を重ねた方が良い場合もある。落語などは雰囲気とあいまってベテランの声の方がよかったりする。

正解はともかく一般的に好まれるのは
○声でいけばはっきりしている=例えばアナウンサのような声
 スピーカで言えば全体的にバランスよく出ている。歯切れが良くクリアー。
だと思う。まあ実際には、これは声帯とか口の形状より鍛錬によるものかもしれないが、あくまで音変化要素の比喩としての話。
 アンプでも変わるが、何も味付け(イコライザなど)しなければ最近のアンプであれば周波数特性も良くて(よほどひどいものを除けば)スピーカほど大きくは変化しない。

なのでスピーカの方が投資効果は大きいのだが、ここからが問題で¥をかけると良いか?みたいな問題になる。
一般論としては、これは正しいといえるが、必ずしもそうはいえない。
問題なのは、やはり「自分が理想とする音をぶれないで持っている」かどうか?にかかっているような気がする。

例えば、自分はピュアオーディオマニアでもなく、個人的にはBGMとして聞く場合が多い。短時間だと歯切れの良いシャープな音は良く感じるが、長時間だとこれは逆に疲れてしまう。柔らかい・やさしいというのは逆の音の傾向になる。
実際、多くの最近のコンポは小型で歯切れが良くシャープな音で作ってあるものが多い。しかし昔ラジオから流れたSP盤のJazzが魅力なら全く違う傾向の音になる。

言いたいのは
・スピーカの方が音は顕著に変化する
・投資というのは金額ということではなく時間でもよい
 例えば、いろいろなものを根気よく聞いて回るのもいいし、現実は難しいだろうから改造したり自作するのもいい。
 その上で「もっとこうならいい」に投資していけば理想には近づく
という意味で、金額の単位も問題ではないように思う。
特に、市販で気に入ったものがない場合もそうだが、そうでなくても自作はお勧めに思う。
少なくとも
・自分で好きに改造できる
・投資金額も予算によって調整できる
・やっていると対策vs効果が経験できるので自分好みになっていく
と思う。但し時間はかかるし、最初はあまり外観を気にしないで実験風の方が良いとも思う。

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オーディオ考

オーディオというのはちょっとオカルト的な話が多い。
科学的でないというより証明が難しいのだろう。
証明できないからと言って非科学的でもない場合も多い。つまり証明できなくても差異が存在する場合もある。

原因としては
1.測定だけではわからない
 測定で優劣がつけば、もっと簡単に市場淘汰されるだろう
2.結果を定量的に示せない
 スピーカの周波数特性はまだいいほうだが、それでも似ていても同じ音ではない。
 それを表現するのに「艶やかな」みたいな文学表現になってしまって、一般的に結果を共有できない。
3.再現できない
 自作だとそうなってしまうが、メーカ品でも部屋や設置で変わるので再現できない。
音量ですら変わってしまう。
 ネットで音を聞いても再現装置が違うので再現できない
4.個人の好みで結果評価される
 1つの音に対する反応が一定しない。聞く音楽もそうだし、求める音も微妙に異なる。正解があるようで微妙にずれている。
 比較論(「AよりBが好きだ」など。)はできるが、膨大なものをすべてぶれない基準で比較するのは困難。
みたいに思う。

 反面、多くの人が良いと認めるものは存在する。100%ではないにしろ、例えば80%が良いと感じるものは存在する。
 基本的にオーディオマニアは経験が多いほど「自分が理想する音」を正確に持っているように思う。但し、それも音楽の嗜好傾向が年齢とともに変化するように変化するかもしれない。
 つまりは正解が存在するようで完全な正解はなく、そこが面白いのかもしれない。

 とどのつまりは「自己主張」みたいなものが、個人のオーディオの方向を大きく左右していて、そういう意味で自分なりのオーディオ考を時々書いてみることにした。
 それも時間とともに変化するかもしれないが...。

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