音のバランス
よく「低音が弱い(乃至は出過ぎ)」「高音が弱い(乃至は出過ぎ)」みたいな話が出てくる。自分も結構安易に使う。
ただ、その都度「基準は何なのだろうか?」と思うことがある。
「自分の好みにたいして」であるとするとAさんは低音が弱くBさんは強いと思うかもしれない。10人が10人「弱い」といえばあっているのだろうが、そういう被験者を無作為に用意したわけでもなさそうだ。数人というのはまだまともだ。
つまりはまずは「フラット」なものがあって、それに対して「弱い」「強い」であれば、これはAさんもBさんも変わらないので客観的だ。
しかし現実問題、そういう「フラットな特性のスピーカ」はなかなかない。
もう1つの手は周波数特性をはかることであるが、これも現実的かどうかわからない。
設置でも変わるが、スタンドのところで書いたように「普通に聞く設置」でどうか?になる。聞く場所までは限定できない。
で、話は前に書いていた秋月の「大画面TV対応 2WAY 3スピーカーシステム(グレー)61cm」に戻る。
実はこの周波数特性というは結構フラットだ。
これが測定結果。
・低音は60Hzぐらいまで出ている(それより下は測定が信用できない)
・高音は10KHz以上は落ちるが-10dbほどである(高音が弱いものは-15db以上落ちる。)
・驚くほどディップがなく平坦な特性
である。測定条件はスタンドをつけて試聴位置にあわせてある。距離は2m。
(それでもすべての環境で再現はしないと思うが...。)
アンプもいろいろあるが、大半のものは測定しても20Hz-20KHzはフラット。測定はFFTで有限の時間だとサンプリングの関係で20KHzは落ちる。
そうでなくても高音は角度で下がってしまう。
¥1500でリファレンスというのもおかしいが、それに近いことは事実。
耳リファレンスとして活用するにしても「これとの比」で述べれば客観的でもある。
つまりは、振幅が周波数に対して一定フラットなので原音のバランスに近いといえる。(アンプはスピーカから見れば随分フラットなデバイス)
これから先が好みで、バスブーストするもよし自分なりの好きなバランスにするといいと言える。
少なくともCDに収録された音バランスで演奏者なり作成者が「聞いてほしい」というバランスになる。音楽にとっては一番肝心な部分だと思う。
もっとも周波数特性がいいから音がいいとは言わないが、最低線がバランスに思う。低音も出過ぎると雰囲気が壊れる。
周波数特性だけでわからないものもいろいろあるが、頑張れば測定できないのかと思うこともある。
・音がなめらか
これはディップもそうだが周波数の暴れが少ないとそう感じる傾向になるようだ。
一般的に音響的な意味で木材でも固い材質のエンクロージャが良いとされるが、なんとなく柔らかい木材だと吸音的な効果が出て滑らかに近くなるのかもしれない。
冗談でパイン材で作ってみたが、結構音はなめらかだった。多分反射定在波が幾分抑制されるからだろう。しかし後の「歯切れ」はさほどよくなかった。
・歯切れがよい
多分周波数特性ではなくインパルス応答ではないかと思うが試していない
高速に応答すれば多分歯切れがいい。また「一般的相場」もわからない。
・コーン材質紙とかメタルとかの「くせ」
これもあてずっぽうではあるが、インパルス応答に思う。それも立ち上がりと立下りというか。つまり柔らかい紙材質はインパルス応答はで立ち上がりは早めで立下りが遅めとか。硬い材質はその逆...みたいな。そんな単純ではなく剛性があるので紙は案外立ち上がりも遅れるような気もする。ユニットにもよるから一概にはいえないだろうけど。
・艶っぽさ
ここになると皆目測定の見当もつかない。滑らかさにもよるのだろう。
・定位
話は飛ぶが「音の方向識別」という技術がある。複数のマイクから複数の音の方向を計算するのであるが、案外これを使うと測定できるのかもしれない。もっともソースに演奏者の正しい位置が示されていないと困るのだが、そういう測定用のCDなりを作ればいいわけで...。
まあ定量的な指標が存在しないため、個人評論が跋扈するけど、測定してもわからない要素は多いのだろう。そんなものを求めてもしょうがない...が一般的な答えでこうなっているような。
ただ上の「音が硬い」とかそういうのは好みとして、最低線「フラットな特性=周波数に対して一定の音圧振幅」がバランスの基準という考え方はまだ客観的に部類だと思う。
秋月の手先ではないが(外観はともかく)「大画面TV対応 2WAY 3スピーカーシステム(グレー)61cm(パナソニック製)」はそこは凄く良い。50Hz以下まで伸びればモニタスピーカになりそうだ。サイズで限界なのかも。
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