エージングの役割
よくエージングで音が変わるという。
これは自分も全く経験がないわけではない。
ここからは個人的な推測...
1例としてスピーカをあげる。
一般的に、物には内部応力がある。
なので例えばエンクロージャで板を切断し接着なりすると、その歪みは内部応力として蓄えられる。
無理やりハタガネなどでまっすぐに接着する。
で長い時間かけてその応力が放出される。
...であれば音は鳴らさなくてもいいじゃないかということになる。
ところがこれがそうでもない。
で考えたのは、もっとスピーカユニットが支配的な気がする。
例えば新品のスピーカユニットを買ってきたとする。これは内部応力というよりボビンとコーンとかさほどしっくりきていないような気がする。
新品の靴と同じで最初は靴擦れしても使い込んでいくと丁度よくなるような感じでいわゆる「なじみ」が発生しているような気がする。(ちょと違うか。)
つまり、細かな「バリ」とか「コスレ」が磨耗や変形でストレスの少ない方向に動く。結果として動きは改善される。
エンクロージャは作ってすぐはさすがに接着剤の強度も十分ではないだろうし論外として、それは数日おけば内部応力はぬけるはずである。
しかし音を出してエージングすると早く安定する。
・低音が出てきた
・のびが良くなった
などは、やはりユニットの「なじみ」が大半の要因ではないと思う。
そのため使い込んだユニットだと最初からそこそこの音がするように思う。
自分がエージングで音の変化を感じたのはやはり新品のユニットを入れた時ばかりである。
もしなじみだとすると表面波である高音より低音を長時間出すほうが効果的だろう。ただ低音を聞き続けるのは苦痛だと思う。(気分が悪くなる。)
でもメーカはエージングはしないだろうし、案外あたっているように思う。
勿論、どんどん突きつめていけば電子部品でも内部応力はあるわけで、エージングで音が変わることになるし、そう主張する人も多い。ただこれを感じるにはそれだけの再生装置というかシステムと耳をもっていないといけないだろう。
経験からすれば、スピーカユニットの比ではないように思う。
もっともそちらも「最初からいい場合」もないではないと思う。
しかし新品のスピーカを買ってきたら、数日はなじみのための低音のよく入った曲を再生させたほうが早く安定するはず。
そもそもエージングで「良くなる」と記載してあるのが大半であることからして、応力原因なら半数が「悪化した」となるはずが、そうはならない。なぜなら応力なら、「変形」であるからどっちに転んでも不思議はないのでこの話自体がおかしなことになる。
なので、この話も「なじみ」と考えるとわかりやすい。つまりスピーカのコーンの動きが「なじんで」本来の設計値になるのだから、悪化はしないだろう。動きが良くなって悪くはならない。
面倒なら中古を購入するのも手のように思う。エッジに寿命があるのであまり年代物はいけないと思うけど。
エッジの張替えもやっている人はいるが、難易度が高そう。
オーディオは「オーディオの真実」にもあるが、根拠不明のものが多々ある。
ただ、エージング=オカルトでもなく科学的根拠はある。
やはりスピーカのユニット部分というのが多い。
自分はユニットの摺動部分の「なじみ」だと思うがエッジという説もある。
例えば...
http://blog.livedoor.jp/jazzaudiofan/archives/50169120.html
いずれにしても(特に可動部品は)製造直後の新品の初期状態よりは安定性が増すのはなんでも似ている。
ただ(通電時間にもよるが)バスタブ曲線風に安定するらしいので、初期安定なら10時間もあれば大半安定してしまうように思う。論文を読むと、振幅の大きい低周波を入れれば数分で安定するらしいが、そんなのを聞くと気分が悪くなりそう。適当な音楽で10時間の方がましだろう。
それから後も変化するにしても殆どは微小だろう。
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