BGMアンプ(1)
ブログをかきだめしていたら、東日本大震災が起こった。
発生したのが1ヶ月前にもなる。
MTなので指定日公開というのがあって、数ヶ月先でも自動公開してくれて便利なのだが、リアルではなくなる。
被災地の方々は本当に大変だと思う。
遅くなったが心よりお見舞いしたい。
本題であるが、自分の場合は音楽は聞くのだが、ピュアオーディオのようにかまえて聞く様なことはない。そもそもリスニングルームもないので一般的な環境。
専用の部屋でなくてもピュアオーディオはあると思うが、不思議とBGMオーディオがない。
つまりは、「たまに(しょっちゅうでもいいが)」仕事(など)をしながら流しておくという聞き方で、これは結構多いような気がする。
ピュアオーディオとの相違は...
・省エネであること
流している時間が長い。震災もそうだが、電気は大事に使うもの。(^^!
・小音量で明瞭であること
つまり会話や生活音は普通に聞こえる程度の音量だが、音楽そのものはクリアなこと。
・やわらかい音
文章での表現は難しいが、きつい音・刺激的な音というより柔らかな音が望ましい。
・指向性がさほど高くない
定位は犠牲にしてでも、指向性が高くないもの。どこで聞くかわからない。
こういうのはシステムとして考えると、スピーカに依存する要素が少なくない。
とくに上のうち「やわらない音」「指向性」はスピーカの範疇だと思う。
そういう意味ではタイムドメイン方式などは案外いいような気がするが、ドーム型は結構指向性がある。(円筒型は少ないような気がする。)
後面開放型の小さなエンクロージャがよく用いられるが、これは主に「小さな」というところがミソかもしれない。背圧は小さいのでゆったりは鳴ると思うが、低音などは望めないし、置き方が難しい。
実際のところは、大きなエンクロージャで背圧を下げてやれば、それなりにいいと思うが、今度は置き場所に困ってしまう。
ブックシェルフ程度が望ましいので、妥協かもしれないが8cmのJSPスピーカを使うことにする。これは指向性はあるがそんなに鋭くはない。低音も大口径には及ばないものの「それなり」に出る。
小音量だと一般の2wayや3wayだとバランスが崩れる場合があるが、フルレンジ1発だとまずそういう心配はない。ただJSPに限らず、バスレフなどの共振を利用するものは、低音は柔らかいというより制動のない音がする。小音量であれば気にならないとは思う。小口径の中高音は一般的にはクリアーに聞こえる。
それに似合ったアンプなのあるが、省エネ観点から、チョイスとしてはD級アンプ。
D級アンプは省エネというか音声エネルギーへの変換効率が良い。小さくて発熱もしないので電気的には全部が音声エネルギーになっている。原理上はスイッチなので電気を食わない。(Onのときは0Ωなので電流が無限大でも0W、Offのときは無限大Ωなので電圧が無限大でも0W。)
PWMを戻すのにLPFフィルタをかけるが、こういうのはないほうがいい。なのでフィルタレスが望ましい。
ついでに出力も小さくてよい。アナログアンプでは急峻な立ち上がりを得るために、大容量電源や大電力が良いとされるがスイッチ構成であるD級ではあてはまらないと思う。電源が直接印加される。
ついでに電源電圧は低いほうがダイナミックレンジが良い方向になる。そもそも8Ωのスピーカに5Vをかけるとそれだけで3W出力になる。0.3Wもあればうるさくて聞いてられないので、パルス幅は1/10以下になる。
何が言いたいかといえば、解像度とかダイナミックレンジはD級の場合はパルス幅精度で決まるが、高電圧になればなるほどパルス幅を小さくするため、ダイナミックレンジが失われることになる。つまりは低電圧の方が、パルス幅が広くダイナミックレンジが高くなる。そのため、その昔は電圧制御するアンプもあったが、これが本来のように思う。
瞬発力に関して言えば、確かに高電圧は有利ではあるが、5V程度でも8Ωなら0.6Aは流れるわけで十分といえる。一方5V以下だとFETは動作が難しく最低が5V程度になる。
つまりD級アンプは
・瞬発力にすぐれる(スイッチなので)=これがクリアになる条件
・低電圧(5V)ほど、解像度がよくなる方向になる=解像度があがる条件
・普通は0.3Wもあればうるさいぐらい鳴らすことができる。
ということで、必ずしも大出力は必要ではない。
というのでTIのTPA2001を使った秋月のD級アンプにした。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-02168/
一般的に、電流帰還アンプであれば小出力のアナログアンプでも結構シャープな音がする。これはスピーカに流れる電流そのものが帰還制御されるためである。但し、fo付近はブーストがかかるため、高いfoだとドンドンというような音になる傾向がある。
普通の電圧制御アンプだと、スピーカの特性関係なく印加を制御する。これがスピーカ負荷で変動しないように抑制する必要があるため、そのドライブ能力は結局は出力インピーダンスというか電流供給能力になる。つまりは高電流が流せるものほど制御能力が高いので、勢い高出力になる。8Wのアンプなら8Ωに1Aの電流は供給できることになる。また瞬間的に1Aを供給しても減衰しない電源容量になるし、コンデンサなどもそれに応じたものになる。
なので省エネとはかけ離れている。